摂食障害は一度なると治らないの?

「摂食障害は依存症だから治らない」と言われて不安な人へ 摂食障害

摂食障害は依存症の一種?一度なると、一生治らない!?

依存症の種類と定義

依存症とは

依存症(アディクション)・・・自分の生活や人生にダメージを与えているにもかかわらず、特定のものごとを、意志の力ではやめられない状態、やめたくてもやめられない状態のこと。

依存の対象によっては、医学的な診断基準や定義等が存在しないものもあります。

依存(アディクション)は、大きく分けると
①物質依存・・・アルコール、薬物、タバコ(ニコチン)など
②行為依存・・・ギャンブル、ゲーム、買い物など
の2つに分かれます。

これに関係依存を加えて、3つに分けられる場合もあります。

摂食障害(拒食症と過食症)は、行動への依存(行為依存・プロセス依存)とされています。

 

摂食障害における依存とは

過食という行動への依存

私が過食に悩んでいるとき

さや
さや

過食は食べ物への依存で、脳の構造が変わってしまうのかな?

と心配していましたが、過食は「食べたくないのに食べているときは心が落ち着く(何も考えなくていい)」という行動への依存なので、脳の構造自体が変わることはありません。

短期間で簡単に克服できるものではありませんが、過食をやめることは可能です。

依存症というより、過食が癖になっているという風にも取れますね。

過食症が食べ物(物質)依存ではなく、食べること(行動)への依存であり、癖であるのなら、過食の衝動をコントロールしていくことが、過食を治していく重要な鍵になります。

また、拒食は「痩せていくことや痩せていること」「食べ物を制限することで安心する」という行動への依存といえます。

 

摂食障害は依存症に分類されない

摂食障害は、薬物やアルコールなどの物質依存とは違います

テレビなどのメディアの影響からか、一般的に『依存症』というと、アルコールや薬物依存やギャンブル依存を想像する人が多いです。

摂食障害(おおまかに拒食症と過食症)は、行動への依存(行為依存・プロセス依存)と言われており、確かに摂食障害の患者さんが他の依存症を併発しやすいことは指摘されています

が、精神疾患の知識のない、いわゆる一般の人が勝手にイメージしている一生付き合っていく依存症とは違うものであると考えられます。

特にギャンブル依存は行為依存とされていますが、摂食障害の拒食や過食が、それと同じであるとするのには、無理があります。

 

脳科学辞典によると、「病態を説明する生物学的根拠がいまだ不十分なことも、行動嗜癖の位置づけを難しくさせている。物質依存症の場合、すでに精神作用物質の習慣的摂取による脳内変化や生理学的依存の存在が明らかにされており、それに依拠して依存症概念が確立された経緯がある。」とあるように、依存症という概念は物質依存を基に定義されたものであることが分かります。

そして、誰でも編集できてしまう某インターネット百科事典には、依存症の一覧に『摂食障害・過食症』という記載がありましたが(2020年3月13日時点)、おそらくあまり知識がない人が書き込んだのだと思います。

まず、過食症と拒食症は切り離せる物ではありませんし、摂食障害の専門治療をしているお医者さんや臨床心理士さんの間でも、摂食障害による過食や拒食を依存症にカテゴライズしている人は、私が知っている限りいません。

 

日本精神神経学会によると、ICD-11(草案)では、依存症という言葉は、「差別意識や不快感を生まないものであること」と、「国民の病気への認知度を高めやすいものであること」、「原則、Disorderを『障害』と訳さない。」とあります。そのため、依存症という言葉自体が『嗜癖行動症群』とされているようです。(日本アルコール・アディクション医学会のサイトを参考にさせていただきました。)

 

大事なことは、依存症かどうかではない

摂食障害を治したいと思っている人たちには、

さや
さや

ネット上の間違った情報を信じて「治らない」と絶望しないでほしいな!

と、せつに思います。

 

やめたくてもやめられない状態に陥ることを依存症って言うんだったら、摂食障害は依存症に当てはまるじゃないか!

という人がいるかもしれませんが、

摂食障害の治療は、依存症のそれとして行われるわけではありません。

本来大事なことは、この病気が依存症かどうか…ではないはずですよね。

ただ、いろんな情報があふれる中で不安になっている人が、「この病気は治る病気なんだ」と分かっていれば、希望を持って治療に専念できるのでは?と思ったので、この記事を書きました。

 

まとめ

この記事をまとめると・・・

摂食障害は食行動への依存という面があるが、依存症の一種とはされていない
物質依存は脳の構造・機能が変わってしまい、回復しても一生付き合っていかなければいけない病気と言われているが、摂食障害は行動への依存(癖みたいなもの)。
克服するのは簡単ではないけれど、完治は可能!
依存症自体が不治の病ではなく、適切な治療を受ければ回復できる

 

最後に、筆者自身はアルコールやギャンブルなどの依存症を『不治の病』として捉えていません。

例えばアルコールや薬物依存でも、初期段階とかなり症状の進んだ段階では回復の見込みも変わってくると思うし、どのような環境(周りのサポートなど)で、どのような治療を受けるかによっても、結果が異なってくると思うからです。

この記事は、摂食障害が「依存症であるがゆえに一生完治しない」という間違った認識を払拭するために書いたもので、すべての依存症が完治不可能であるという意味ではありません。

 

本文にICD-11と書きましたが、ICD(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems)というのは世界保健機関(WHO)が作成する、病気や死因の統計を国際的に比較するための分類です。
ちなみにDSM-5というのがアメリカの精神医学会が出版している『精神障害の統計診断マニュアル』で、どちらも精神科や心療内科の診断基準になっています。
※ただし、必ずしも正しい診断基準というわけではなく、問題点があると指摘する専門家もいます。
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